コミックシーモア

小田ゆうあ作「ふれなばおちん」第16話 原作のあらすじ&感想

100000651720011

■好きで大事な旦那よりも、自分を占めるもの

「なあなあ奥さん」いつもは“おかあさん”と呼ぶ義行が“奥さん”と呼んでいる。これはもしや…どうしよう…と思っていたところで、優美香の部屋から笑い声が聞こえてきた。夏は、優美香が買ったばかりのケータイでこんな夜まで電話している、注意してくる!と起き上がった。優美香のことを注意すると、今度は真樹夫が部屋から顔を出した。家庭科で作るティッシュケースの宿題が終わっていない、と泣き顔である。

真樹夫の宿題を終わらせて、寝室に戻ると義行はもうイビキをかいていた。そして夏はその姿にほっとしていた。夏は小牧の言葉を思い出していた。オツトメでもいいからセックスをしてほしかった、という言葉。自分もそうだったはず…イヤなことではなかったはず…なのに何故こんなにも拒否反応を示しているのだろうか。義行のことは好きで大事だ。なのに、先刻は布団に入られそうになって、体が硬直してしまった。夏自身のキャパは佐伯ひとりに占領されてしまっているのだ、と気づかされた。

 

翌朝、義行が起きてきた。お父さんおはよう、と声をかけても、なんだか義行の態度がおかしい。明らかにゆうべのことで、夫婦二人の間の空気感が歪んでしまっているように思えた。しかし真樹夫が、夏に手伝ってもらって作ったティッシュケースを見せると、昨夜手伝っていたのか、と納得した義行は、夏にいつも通りコーヒーを頼むのだった。

 

義行が会社に着くと、佐伯が昨日はすみません、と合格祝いの会に出られなかったことを詫びてきた。いつの間にか良と優美香が仲良くなっていたのは驚いた、と義行が言うと、佐伯は「くっつくべくしてくっついた、ってカンジしますけどねぇ」と言う。その言葉に義行は、上条家の長である自分よりも、佐伯のほうが家庭内の事情に詳しいことを思い知ったのだった。

 

喫煙所で、佐伯と若林は一緒になった。佐伯の劇団の公演チケットを買ったという若林は、前衛演劇を観劇するのは初めてだから緊張する、と言う。その言葉に佐伯は、前衛と言うほどではないと話し出し、有名劇団の例を出し説明しようとするものの、若林には、わからない、と冷たくあしらわれてしまった。夏でもあるまいし、わかるわけないよな、と佐伯が思ったところで、若林に「誰か他に話のわかる人がいるって顔ね」と言い当てられる。佐伯は若林の機嫌を損ねないように肩を抱いて取り繕おうとするが、どうでもいい女は適当にあしらってムカつく、あの人の前ではちがうんでしょーねぇと、手を払われた。

「どこのどなたのことでしょう?」ととぼけた佐伯に、止められなくなった若林は「エプロンがお似合いのあの人のことでしょうねえ」とほぼ核心をつく言葉で返す。

 

佐伯が、使われていない会議室に若林を連れ込むと、若林は「こんな所に引っぱり込んで誰かきたらどうするの?」、そして「社宅のしげみの陰よりマシかな」と言った。佐伯は「なんのことだかさっぱり。さっぱりわかんねーけど、どうでるつもりかだけ聞いておこうか」と若林に聞く。

若林は、別にどうもしない、ただ危ない橋渡ってるわりにはツメが甘い、ちょっと遊びが過ぎるんじゃない?と返す。しかし佐伯は「遊びじゃねえ!」という言葉で若林を遮った。そんな佐伯に、若林は「その顔!やっとでたね。その顔がガチ顔!」と佐伯の顔を指差した。そして、どうしてその顔を見せてくれるのが私じゃないのか…とひとりごちた。

佐伯が笑いながら、そっちも本気でオレのことを好きなわけじゃないだろ?と言うと、若林は佐伯を勢いよく押し倒し、キス。「この人に食べられたいなーって思うくらいではあるのよ。これってけっこう好きじゃない?どう思う?」と佐伯の上で言う。突然のキスに驚いた表情を見せた佐伯だったが、若林の髪に触れ、「確かに…エロイわ。伝わる。悪くないよおねーさん」と言う。そしてその佐伯の言葉に若林はこう言うのだ。「じゃ、しちゃおう。ここで」と—-。

 

 

 

旦那である義行はセックスを拒否され、何かに気づいたんでしょうか。それともまだ、拒否られたこにすら気づけていないのでしょうか…。義行が差し向けたはずの佐伯は夏と恋仲になってしまったわけですが、それは誰が悪いのでしょうか?

“おとうさん”、“おかあさん”と呼び合う夫婦。妻を女として見られない、みたいなことを言う前に、実はそもそも男として見られていない。そんな現実が夫婦間にはあったのかもしれません。