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小田ゆうあ作「ふれなばおちん」第10話 原作のあらすじ&感想

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■恋は人生の華。

佐伯に傘を持っていった夏がなかなか戻ってこないことに痺れをきらした義行は、2人の元に歩み寄った。

今のやりとりを言えない夏は、佐伯が良のことを気にしてくれていて有り難い、と義行に嘘をつく。自分でも驚くほど簡単に口からでまかせが出て、夫に嘘を言ってしまっていた。

その夏の言葉に義行はチラリと佐伯を見るが、佐伯はにこりと笑って、何日か良を部屋に止めたら情がうつってしまって…と夏の言葉をフォローした。そこで、唐突に義行の携帯電話が鳴る。電話は会社からで、話し混んでる義行のその声を聞きながら、佐伯は夏の手を握りしめる。夏はそれを振り払おうとするが、何度も佐伯の手は追いかけてきて、義行の電話が終わるころにやっとその手から逃れることができた。義行は一緒にタクシーで家まで帰ろうと誘うが、佐伯は寄るところがあると辞退し、夏は佐伯に傘を手渡す。

そのあとの夏の顔を見た義行は、夏の言いようもない表情に何かを感じた様子だったーーー。

 

翌朝早くから、夏の携帯電話には非通知の着信が。着信拒否したのは自分なのに、一瞬佐伯からかと思ってしまった夏だったが、その電話の相手が小牧だと知り驚く。

小牧は、このまえ社宅の前で会ったとき、車で夏を危ない目に合わせてしまったことが気になって…と話し出した。息子の良がお世話になっているのにごめんなさい、それだけどうしても言いたかったのだと、小牧は電話を切ろうとしたが、それを夏が制した。母の顔も妻の顔も捨てたから顔を見ないでと言って男と消えてしまった小牧に、夏は聞いて欲しいことがあったのだ。

 

夏は「男の人を、主人以外の男の人を、好きになったかもしれない」と、とうとう言葉にしてしまう。夏は「少しずつ近づいてしまって、はなれようとしたけど、なんかまたダメで。気持ちが動きはじめちゃって…」と誰にも言えなかったことを話し出す。小牧は「あなたが?」と夏のその話に動揺を隠せない。夏は、小牧を非難してきたのにひくよね、こんなことが起こるなんてサイアク、もうどうしたら…ときちんとした言葉にならない心中を話す。その夏の整理しきれない感情に、小牧は「サイアクってことはないじゃない?あたしたちの年齢で恋がふってきたんでしょう?すごいことじゃない!恋愛は人生の華よ」と言う。さらに「良を捨ててこんな恐ろしいこと、できるはずないって思ってたわよ」「人間失格だし満身創痍だけど細胞のすみずみまで生きてるってカンジ」と小牧は、家族を捨ててしまった今の気持ちを話し出した。しかし「同時に地獄も味わってる。あたしは華をつんだけど、あなたはつまないほうがいいわ」と自分と夏の境遇を重ね合わせ、夏に忠告をした。

「あなたの中に生えてきた“女の芽”は今のうちに買いものサンダルでふみつぶしておきなさい。それはもうあとかたもなく、しっかりふみつびしておくのよ」とーーー。
そこにちょうど夏の家には、回らん板を届けるご近所さんの声が。「回らん板に、ゴミ出しに、子どもの病気か。あたしたちはゆっくり色っぽい話もできないのよね」と小牧は言い、面白いからまた電話する、その時までに踏みつぶしておけ、と小牧は電話を切った。

 

回らん板を持ってきた山崎は、朝から玄関で世間話をし始める。その山崎の姿を見ながら、まだ50そこそこのはずなのに染めがとれてはえぎわの白髪が目立つ、鼻毛が出てる、毛玉だらけのベスト、すごい柄の服、重ねばきしてパンパンの足…と夏は山崎の姿を観察しながら思っていた。自分も同じように見苦しいのかもしれない、と。
夏は買い物に出かけたドラッグストアで、ふらりとマスカラ売り場で足を止めた。めざとく近づいてきた美容部員が、スッピンの夏の顔を一からメイクし始める。いかがですか?と言われて鏡を覗きこんだ夏は、自分のメイク顔に驚き、その場から走り去ってしまった。今したばかりのメイクをこすり落とし、日焼けで首は黒いのに顔だけ白く浮かんで見える、シワにファンデーションがめりこんでいる、マスカラなんてし慣れてないからタヌキみたい、今までなんにもして来なかったから上から塗りたくったって、と自己嫌悪に陥った。
そして、ふと街中のショーウインドウに自分の姿が映る。脳裏には佐伯の顔。こんな私をいいと言ってくれる人がいる、想いはそっと秘めておく、でもせめてその人のためにキレイになりたいーーーーと夏は思うのだ。
「女の芽はふみつぶしておくのよ」と言った小牧の声は、聞こえていなかったのか……。
やはりこの物語でキーパーソンなのは不倫の先輩である小牧だろう。「家庭を捨てるなんて怖いことできるはずない」がA面であるとするならば、「でもやっぱ好きになっちゃったし」がB面。Aが世間的正解だとしても、本人にとってはBが正解のこともありますよね。おもしろがっている小牧が、先輩としてこれからどんなアドバイスをしてくるのかが気になります。
そして、王道の展開ではありますが、とりあえずキレイになりたい、と思う女の気持ちは非常によくわかる。コミックスの表紙に表現されているように、夏はどんどん母から“女”へと変わっていくのでしょう。

 

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